The Rolling Stones「Ladies And Gentlemen」

レディース・アンド・ジェントルメン [DVD]

レディース・アンド・ジェントルメン [DVD]

ローリング・ストーンズの1972年のライブの模様を収めた幻の映画、
「レディース・アンド・ジェントルマン」のDVDが一昨日リリースされた。
武道館での上映会、Amazonのレビューともに好評なので買ってみた。
実際見てみると、まず映像が暗い。おまけのインタビューでミック・ジャガー
自身が解説しているが、この暗い照明は演出家の意図によるものだそうだ。
最初は違和感あったが、ミックも言うように、70年代の雰囲気はよく出ている。
ミックのパフォーマンスはキレててカッコ良い。けど、それは想定内。
意外だったのはミック・テイラーの存在感。この映像を見る限りでは、キース・
リチャーズよりむしろカッコよく見える。キースと違ってギターも上手いし。
音楽的な雰囲気は「メインストリートのならず者」に似ている感じ。
ライブ自体がこのアルバムのプロモツアーの一環として行われたので、
当たり前とも言えるが、自分にとってはやや微妙だった。ストーンズ
ブルース/カントリー志向の渋い部分が40過ぎた今も大の苦手で、従って、
「メインストリートのならず者」をストーンズの最高傑作アルバムと見なす
ロックファンの主流派意見にも納得できない万年ミーハーの自分としては、
「ダイスをころがせ」から「ミッドナイト・ランブラー」までの中盤は
おおむね退屈だった。一方、「バイバイ・ジョニー」からラストの
「ストリート・ファイティング・マン」までの速い曲コーナーは圧巻。
ミック・ジャガーのボーカルはベストの状態ではないが、鬼気迫る顔芸や
アクションで否応なく高まらせる。バンドの演奏はソリッドでパワフル。
しかも、サポートも含めて一体感がある。このへんはさすが全盛期という感じ。
残念なのは、編集され過ぎてるところ。計4回のステージから良い所を取った
関係で、曲と曲とのつながりが非常に悪い。当然ライブ感もそのぶん減る。
また実際のライブでは「Rocks Off」がラストだったのに、ギターも歌も
音が外れてるという理由でカットされてるのも惜しい。この曲は「ならず者」の
中で例外的に好きな曲で、しかもYouTubeにいいライブ映像が無いからだ。
もともと速い曲だけど、この終盤のハイテンションの中での演奏を聴きたかった。
全体としては、熱心かつ成熟したストーンズファンのための作品だと思う。
私のようなライトユーザーは、部分的にしか楽しめないケースが多いのでは
ないだろうか。次回はぜひミーハー向けの78年USツアーを映像化して欲しい。
ももクロミック・ジャガーこと百田夏菜子さんも、きっとそう思ってるはず。