KISS「地獄列伝」

今日から3日間はHMVのトリプル・ポイントデー。昨夜久しぶりにQlairを聴いたら、
なんか妙にいい感じだったので、ここらで私も懐メロに走ってみようかなと思い、
ちょっと前にM井さんが良いと言っていたSweetSのベスト盤か、CoCoの
STRAIGHTの再発盤を買おうと思って行ったところ、両方とも売ってなかった。
立川店の限界かも知れないが、とにかくこの店はアイドルものの品揃えが薄過ぎる。
失望しつつ店内をブラついてると、KISSの「地獄列伝」が試聴機に入っていたので、
聴いてみた。曲のラインアップは例によって初期の定番曲中心で変わり映えしないが、
今回はニューレコーディングということで、そこが期待といえば期待。しかし、
結果的には、なんとも微妙な感じであった。まず良い点は、音が厚くなったこと。
キッスの70年代の曲を懐メロっぽく聞こえさせてしまうあのスカスカ感がなくなり、
今風のこってりしたサウンドになったのは良かったと思う。その半面、全体に
テンポが遅いというか、キレが悪いというか、モタモタした音になったのは、
良くない。また、ヴォーカルがだいぶ変わってしまったのにも戸惑った。
ポール・スタンレーの声は(かなり渋くはなっているが)まだポールの声と分かるが、
他のメンバーの声はまったく別人である(実際別人の可能性あり)。その結果、
キッスの新録盤というよりも、全米で最も優秀なキッスのコピーバンドによる、
オリジナルに極めて忠実なトリビュートアルバムのように聴こえてしまうのだ。
極めて忠実と言っても、ところどころで痛い裏切りにも遭う。たとえば、
「I was made for lovin’ you」のポールがファルセットで「♪キャンゲリナァーフ」
と歌うとこで、一番高音の一番きれいな部分がゴマかされている。これは非常に残念。
全体的にはそう悪い出来ではないものの、これを喜んで聴くKISSファンは、とくに
オールドファンの間にはあまりいないだろう。私もこれは見送りである。納得。