「百年の孤独」再読

昨日から今日にかけてガルシア・マルケスの「百年の孤独」を読んだ。
読み直したきっかけは「考える人」で長編小説No.1に選出されたと聞いたこと。
大学生時代、一段組みの新装版が出た1999年に次いで3回目の通読だったが、
今回が一番面白く読めた気がする。初めて読破したときは、それまで何度も
挫折していただけに、読み通せたこと自体に感動してしまった嫌いがあった。
二度目のときは、アウレリャーノ・ブエンディア大佐に感情移入しすぎたため、
大佐が死んだ後は退屈に感じてしまった。この小説はラストが非常にいいので、
2回とも読後感は良かったものの、今ひとつ底の浅い感動だったと思う。
今回初めて、特定の登場人物やエピソードにではなく、小説全体に引き込まれ、
小説全体を味わう形で感動できた。言い換えれば、3回目にしてようやく
百年の孤独」が自分のものになったような気がする。とはいえ、これが
自分にとって最高の長編小説かと問われると、イエスと即答できない感じもある。
現時点でもユルスナールの「黒の過程」の方が上のような気がするし、
将来的にはカフカの「城」が自分のベストワンになりそうな予感もする。
「城」はまだ1回しか通読したことがないので、年内にもう一度読んでみたい。