広辞苑第六版first impression

新しい広辞苑が発売されたので、早速立ち読みしてみた。
広辞苑に限らず、新しい国語辞書が出たとき私はまず「動画」を
引いてみることにしている。動画はもともとアニメーションの訳語で、
例えば東映のアニメーション関連の子会社は東映動画というように使うが、
近年はアニメに限らず動く画像全般を意味するようになってきているのは
周知の事実。ところがこの変化に対する国語辞典界の反応は意外に鈍い。
私の知る限りでは、2005年秋に出た旺文社国語辞典第十版が最も早く
動画の今日的語義を採用したのではなかったかと思う。新明解も明鏡も
集英社国語辞典も、それぞれ実力と個性を兼ね備えた良い辞書ですが、
いまだに動画=アニメーションにとどまっている。去年の暮れに出た
三省堂国語辞典第六版でさえ、「告る」「出禁」「ピン芸人」といった
語まで採用する先進性を売りにしているにも関わらず、相変わらず動画は
アニメだけしか載せていない。この辞書は昔から定義が簡潔かつ正確で、
私も好きな辞書だけに、この遺漏はちょっと残念であった。
で、広辞苑第六版で引いてみると、ちゃんと今の意味が載っていた。流石だ。
これで今後発売される国語辞典では、動画の今日的定義が漏れることは
まずなくなると考えてよいだろう。良かった、良かった。
いま私が最も注目している単語は「天然」である。天然ボケの略語としての
天然は、最近特に若い世代に急速に定着しつつあり、今や天然ボケよりも
むしろ天然の方が使われる頻度は高いのではないかと思われる。
この変化には三省堂がイチ早く対応している。上記の三省堂国語辞典第六版、
および三省堂現代新国語辞典第三版が最新の定義を載せている。
ただし、定義の内容は両辞書でかなり異なっており、私の意見では、
三省堂国語辞典の定義の方が正確さの点ではるかに上である。
広辞苑第六版は流石にこの天然の意味はスルーしているが、たぶん
第七版では取り入れることになるだろう。第七版の出るのがまた10年後の
2018年だとすると、私がそれを読めるかどうかは微妙なところですが。