MAX松浦が語るエイベックス20年

avex松浦勝人社長が自身のブログで会社発足20年について書いている。
http://ameblo.jp/maxmatsuura/
一読して、「MAX松浦も苦しいんだなぁ」という感想を禁じ得ない。
かつてはロックに比べて一段低く見なされていたダンスミュージックの地位を
向上させ、日本にダンスミュージックを定着させた松浦氏の功績は大きい。
80年代後半の所謂バンドブームによって日本のロックのカッコよさのレベルが
劇的に下がった分を差し引いても、彼が単なる音楽プロデューサーでも
業界の風雲児でもなく、「時代を変える男」であったことは認めねばなるまい。
しかし今の彼は、時代を変えるどころか、時代の急速な変化についていくのが
精一杯の悩める凡庸なリーダーに見える。

エイベックスは何が起きても対応できるよう、
その時、その時の変化を察知し、いつでも動ける状態にしているつもりだ。

一見強気のようなこの台詞も、時代の変化に受け身でしか対応できていない
エイベックスの現状への苛立ちを裏返しにした強がりにしか聞こえない。
松浦氏自身、迷っているに違いない。

63歳になるまでの20年また、今までにない経験を積み重ね、
試練を乗り越えながら自分の器を大きくするということが人生の目的というものなのかなぁと思う。

つまり、このままなんとなく「業界の大物」コースを歩んでいくか、あるいは、

40代は大きな可能性を秘めた最後の独立のチャンスである年代かもしれない。

つまり新たに自分自身の会社を起こして、最後の勝負に出るか。
楽な迷いではないだろうが、確かに迷う価値のある迷いである。
個人的には、松浦氏にはもう一度自分流のやり方で勝負してみて欲しい。
長年のライバルであるつんくはすでにTNXを起こし、さらに今、
Nice Girlプロジェクトを本格的に立ち上げようとしている。松浦氏には
つんくほど深いアイドルへのこだわりはないかも知れないが、別に
アイドルでなくてもいいので、とにかく何か新しい展開を見せてもらいたい。
それにしても、dreamの失敗は大きかった。松浦氏にとってもdreamは、
絶対成功すると確信していたプロジェクトだっただけに、結果的に
弁解の余地なき大コケとなったことで、彼の中の何かが決定的に壊れたはず。
もしdreamが松浦氏の計画通り成功していたら今頃は・・・やめよう。
いま彼が売れると信じて力を入れているのは、高杉さと美のようだ。
決して悪い仕事ではないと思うが、またしても世間の反応は冷たい。
松浦氏が今も内心天才プロデューサーを気取っているのかどうかは知らない。
ただ、天才であれ凡才であれ、彼が本物の音楽プロデューサーなら、
成し得る仕事はまだまだ無限にあるはずだ。松浦氏には、自身が制作を
手がけた優れたJ-POP楽曲のタイトルを思い出して欲しい。
Max, you still have to be movin' on. 心の奥は、乾いたままでいいから。