伊坂幸太郎「重力ピエロ」

昨日の夜、伊坂幸太郎の「重力ピエロ」を読了した。
伊坂さんの作品を読むのは今回がはじめて。
辛い過去を持つ兄弟が連続放火事件に巻き込まれ、
癌を患う父親と一緒にその謎を追うというストーリー。
ミステリーとしては底が浅く、途中で犯人と犯行動機が容易に推測
できてしまったが、小説としてはなかなか面白かった。
村上春樹に似すぎてる嫌いはあるものの、文章も才気煥発そのもので、
啓蒙性の高い引用や気の利いた会話・警句はかなーり冴えている。
これだけ面白ければ人気あるのも納得と、素直にうなずけた。
とはいえ、他の作品も読んでみようという気にはならなかった。
若々しい才気が横溢する半面、文学作品としての深みが全くないからだ。
自分があと10歳若ければ、夢中になれたかも知れないけど。
この小説は映画化されており、来月の23日に公開予定とのこと。
実質的な主人公であり、作中もっとも魅力的なキャラクターである
「春」を岡田将生くんが演じるようだが、これは期待できそう。
岡田くん主演の映画はこの春立て続けに公開されているが、
スターダストが新人賞を取らせるつもりで送り込んだ本命作品は、
たぶんこの「重力ピエロ」だろう。兄役の加瀬亮もハマるはず。
天然コケッコー」のような爽やかな傑作になることを期待してます。
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