クローズアップ現代「ポル・ポト裁判」

今日のクローズアップ現代で、カンボジアポル・ポト裁判を取り上げていた。
2年前にポル・ポト政権の大虐殺を裁く特別法廷が開設されたが、裁判の進行が
予定よりはるかに遅れている。それは何故か? という問題設定であった。
番組によると、被告である旧ポル・ポト政権の幹部が虐殺への関与を否定していること、
また、依然カンボジア国内に根強い影響力を持つポル・ポト派の報復を恐れて、
被害者の遺族らが証言をためらっていることが裁判遅延の主な原因らしい。驚いたのは、
一般市民が「ポル・ポト派による虐殺はなかった」と平然と語っていたこと。じつは、
ポル・ポト派との政治的対立を恐れたカンボジア政府は、長いあいだポル・ポト派による
虐殺を学校で教えてこなかったらしく、そのため若い世代にポル・ポトの虐殺を知らない
人が多いそうだ。最近になってようやく教え始めたらしいが、虐殺の背景として
隣人同士や家族同士の密告があった関係で、今でも虐殺の被害者と加害者が隣り合わせに
生活している土地が多いことも問題を複雑にしているそうだ。なんとも暗い話である。
見た限りでは、この裁判が正義と法の支配の勝利に終わる可能性はまず無さそうだった。
カンボジアの人には悪いが、こんな野蛮な国に生まれなくて良かったと思った。納得。