The Enemyの「We'll live and die in these towns」

夏になると、ロックが聴きたくなる。
普段聴いてるクラシックロックではなく、新人バンドのイキのいいロックが
無性に聴きたくなる。この夏わたしの心をとらえたバンドは、The Enemyだ。
つい数日前に「しょせんB級UKバンド」とか言って否定したばかりなのに
一転して「心をとらえた」とはどういうことだといぶかる向きもあるかも
しれないが、季節が変われば人の心も変わるのはいたって自然なこと。
また、これは蛇足というべきかもしれないが、「君子は豹変す」という格言を
思い出していただくのもあるいは有益かと思う。
The Enemyの魅力は、一言でいえば、音の若さである。
一昨年の夏によく聴いたThe Subwaysと同じく、初期衝動がダイレクトに
反応している音が気持ちいい。ただ、若さゆえの勢いや疾走感だけでなく、
ポップで歌いやすいメロディなど、クリエイティブ能力も結構高いと見た。
いかにも労働者階級出身という感じの音と歌い方はThe Jamを思い出させる。
イギリスではOasisやClashにも例えられているようだが、人によって
思い出すバンドは違っても、The EnemyがUKロックの一つの典型を再提示
していることは間違いない。逆に言えばオリジナリティは無いに等しいという
ことだが、それはこの際よしとしよう。多分この夏だけの付き合いだから。
アルバム収録曲の中では「Away From Here」「Pressure」「It's NOT OK」が
今のところ特に好きだ。ライブも観に行きたいけど、無理だろうなあ……