文化勲章予想2011

今年も文化勲章受章者発表の季節がやって来た。
例によって、受章者の顔ぶれを適当に予想してみよう。

まず文学部門は、今年も丸谷才一曽野綾子の一騎打ちだろう。
私は業績と年齢を重視して、丸谷氏に先にあげる方がいいと思う。
文化功労者になってから今年で5年。やや早いが、許容範囲内だろう。
曽野綾子は今年で8年待ちだが、宿敵の瀬戸内寂聴が9年目で
ようやく受章したことを思えば、もう1〜2年待たせてもいいはず。
今年こそすんなり丸谷氏が受章すると、期待込みで予想しておく。

芸術部門は、野見山暁治さん一択。功労者になってからもう11年。
90歳を超えた今も現役と聞けば、受章の資格は十分あると思う。
業績が文化勲章に値するかどうかは私には判断できないが、素人が
見ても普通にいい絵だと思うので、なんとか受章して欲しい。

大衆芸術部門は、山田洋次氏を本命に推したい。山田監督は功労者に
なってから今年で7年目。業績は文句なし、年齢も今年80歳を迎えて、
適齢期に入った。ただ、いま小津安二郎の「東京物語」をリメイクした
新作を撮っている最中らしいので、この作品が公開されるであろう
来年の方が、受章のタイミングとしてはよいかもしれない。

人文科学部門は、山田監督と同じ2004年組の中西進さんがもらうと見た。
国文学畑からは2008年にドナルド・キーン氏が先に受章しているが、
キーンさんは長年日本文学を海外に紹介してきた業績を含めての評価で、
純粋に国文学者としての実績だけなら、中西さんの方がずっと上だろう。
今もお元気にご活躍のようなので、ぜひ今年受章して欲しい。

自然科学部門はよく分からないので今年も当てずっぽう。
光化学の田中郁三さん、情報工学の末松安晴さんの2点買い。

その他では、朝倉摂さんが今年受章できそうな気がする。
功労者になったのが2006年なので、やや早い感はあるが、
89歳という年齢を考えれば、今年受章しても不思議はない。
舞台美術を芸術の域に高めた功績は誰もが認めるところなので、
お元気なうちに受章して欲しい。


続いて文化功労者の予想。こっちは今年こそ蓮實重彦がなるだろう。
業績がフランス文学研究と映画評論に分散している点がマイナスに
評価されているのかもしれないが、私見では、映画評論だけでも、
蓮實が文化功労者に認定される資格は十分あると思う。
じゃあ柄谷行人はどうなんだという話になるが、私は無理だと思う。
柄谷も確かにある意味功労者ではあるけど、文化功労者に選ばれるほどの
業績はないだろう。将来的には選ばれる可能性もあるが、とりあえず
現在進行中の仕事「哲学の起源」の結果を見てからでも遅くはあるまい。
他に文学者では、池澤夏樹さんがそろそろ選ばれるかもしれない。

スポーツ界からは川淵三郎氏が選ばれそう。日本のサッカー界をここまで
牽引してきた功績は非常に分かりやすいし、なでしこJAPANがW杯で
優勝した今年は、タイミングとしてもベストと思われる。
大衆芸術方面では、そろそろ戦後生まれのポピュラーミュージシャンから
文化功労者が出るかもしれない。まずは坂本龍一細野晴臣だろうけど、
女性枠で松任谷由実、作詞家代表で松本隆の線もないとは言い切れない。
ただ、いずれも年齢的には時期尚早なので、可能性はまだ低そう。

個人的には、秋山晶さんが選ばれればとても嬉しい。選出されれば、
コピーライターとして初めての文化功労者ということになるが、
日本でコピーライティングを文化の域にまで高めた秋山さんの、
余人の追随を許さぬ傑出した業績は、広告関係者なら誰もが認めるはず。
年齢(75歳)的にもちょうどいいので、ぜひ今年選ばれて欲しい。