2019年12月2日(月)

昨夜、『メインテーマは殺人』というミステリ小説を読了した。

評判に違わず、非常に面白かった。

 

基本的にはオーソドックスな犯人探し小説だ。

資産家の老婦人が自分の葬式の手配を済ませたその日に絞殺される。

さらにその老人の息子の人気俳優も殺される。犯人は誰で動機は何か?

元刑事の偏屈な中年男ホーソーンが警察の依頼を受けて捜査を進める。

ストーリーはテンポよく進み、犯人は意外で、動機は説得力十分。

伏線は周到かつフェアに張られ、回収も見事。読後感は爽やかだ。

 

一方で、叙述には非伝統的な仕掛けがある。

語り手が著者のアンソニーホロヴィッツ自身なのだ。

設定も現実と同じく人気作家。映画やテレビドラマの仕事もよくやってる人らしく、

作中にはスティーブン・スピルバーグ監督が実名で登場したりする。

この仕掛けによって作品は現実と虚構の間に置かれる。そこが面白い。

 

また、ミステリとしてだけでなく普通の小説としてもよく出来ている。

なにより文章が上手い。とくに風景描写は巧みで、ロンドンの繁華街でも、

イギリスの田舎町でも、情景がありありと目に浮かぶように描写してくれる。

人物描写では、主な容疑者はもちろん、聞き込みでたまたま出会った端役的な人も

個性豊かに描きわけている。まさに熟練の筆さばきで、感服するほかない。

 

欲を言えば、もう少し文学性があればなお良かったかもしれない。

文学性がないため、非常に面白くはあったが、深い感動はない。

けど実際は、下手に感動を狙わずエンターテインメントに徹したからこそ、

このレベルの面白さを実現できたのだろう。そこは理解してます。

 

ホロヴィッツは去年『カササギ殺人事件』で「週刊文春ミステリーベスト10」など

日本のミステリ関係の賞を総ナメにしたが、たぶん今年も同じような事になるだろう。

『メインテーマは殺人』もまた、賞を独り占めしても許される圧倒的な傑作である。

メインテーマは殺人 (創元推理文庫)

メインテーマは殺人 (創元推理文庫)

 

 

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「パプリカ」の英語版MVが公開された。

歌う人が英語ネイティブの子どもに変わり、名前もFoorin team Eになった。

曲調はほとんど変わらないが、歌詞が入ってこないぶん聴きやすい感じ。

オリジナルの良曲感は海外の人にも伝わるのだろうか。チト興味あり。


Foorin team E - Paprika

 

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ひめキュンフルーツ缶の新しいMVが公開された。

6月に出たシングルのMVをなぜか半年後のいま公開。

曲は流行りのエモいロック歌謡で、出来はまあまあ。

映像は工夫なし。ルックスは地味だけど1人だけ美人。ありがちぃ(笑)


HimeKyunFruitCan『ANSWER』MV